2014.5.29

まかないの朝食担当で5:30起床。
今日は鯵のみりん干し、ポテサラ、いんげんの煮浸し、かぼちゃの甘酢炒め
みりん干しを火にかけてかぼちゃを炒めていたら、
なにやら焦げ臭い。
みりん干しから煙が!!炭にしてしまった。。
みりん干しは軽く炙る程度で良いらしい。
反省…

今日で中庭の雪かきもひと段落。
ザラメや氷板化した重い雪との格闘で少し腰に疲れが溜まっている感あり。
夕方は室内の仕事だと聞いて、
ちょっと体を休められると思った矢先に
ひとつ30kg近い米の袋26袋を整理する仕事を拝命。
今晩はストレッチしとこう。

夕食はまかない担当のけんちゃんが腕をふるってくれた。
自分の休憩時間を殆ど全て費やして、
3種類のピザを作り上げる。

ピザソースは昨晩から仕込んでいてくれた。


3種のピザ。どれも美味!
限られた時間と食材をふんだんに使って、
特別な時間を演出してくれました。

2014.5.28

今日は荷上げの日。
予報通りの快晴、風も弱く絶好のヘリ日和だ。

今回は初めて『荷受け』という役割をやらせてもらう。
ヘリコプターに合図を出して誘導する仕事だ。

入山時の荷上げの様子。
荷受けの人がロープを切り離すようサインを出している。

ヘリコプターのパイロットからは雪面の凹凸が分かりづらいそうで、
荷物を下ろす位置を微調整するのをサポート。
他にも、変化に飛んだ山岳地帯の風の吹き方を直前に伝えたりする。


ネットから拾ってきたマーシャリング(ヘリ誘導のサイン)の例
航空会社から指定を受けているサインとは少し違いがある。

今日は荷上げが4便あり、
最初の1便目に先輩にレクチャーを受けて2便目から即実践。

緊張しているとプロペラの音が聞こえ始め、
視界にヘリが見えて「槍行きます」と無線が入る。
吹き流しを確認して「こちら南西の風、風力3、回収便もあります。どうぞ」
これを言い終わる間にもヘリはみるみる近づいてくる。
ヘリを呼ぶ合図を送ると、
旋回して自分をめがけて飛んでくる。
真正面からヘリコプターが飛んでくる迫力に緊張して、
サインをひとつ抜かしてしまった。

なかなか難しい。。
先輩が僕の必死にテンパっている動画を撮っていたので、
こんどデータを貰って反省会をしなくては。

ヘリで荷上げした物資を小屋に運び入れてひと段落。
昼休みにメモ書きしていたらいつの間にか昼寝していた。

午後からはひたすら雪かき。
投雪機が少しだけ上手く扱えるようになった気がする。
先輩に「上達したな!だが、まだ遅い!!」と褒められて叱られる。

2014.5.27

今朝は快晴!

太陽が眩しい。


槍沢は雲の中。


雲海が遠くまで広がっている。
南アルプスや富士山が島のように浮かぶ。


朝は雪面がバリバリに凍っていたけれど、
日中の暑さで一気に緩んで雪かきもはかどった。
一日中外仕事をしてクタクタだ。



仕事が終わって、部屋に戻ると窓から黄金色の光がさしていた。


夕食後、カメラを持って屋根の上へ。
太陽が沈んでいく様子を眺めながら、
時々ファインダーを覗いてシャッターをきった。








2014.5.26

遅出、6:00まできっちり寝る。

午前中は小型の投雪機で雪かき。
雪がガチガチにしまっていて、
自分の体重もかけながら操作する必要があった。
作業時間の終わりがけにようやくコツをつかむ。

作業中にだんだん風が強くなっていった。
午前の作業が終わった直後に雨も降り出して暴風雨となる。

午後は外作業を中断して全員で布団のえりふ縫いをした。

男達の針仕事(山荘ブログより転用)

みんな1時間以内に1枚仕上げるのだが、
僕は1枚仕上げるのに1時間20分ほどかかる。
これでも早くなってきているのだけど、、まだ遅いな〜

16時に縫い目が乱れ始め、
17時に針で指を思いっきり刺してしまう。
慣れない針仕事は雪かきよりハードに感じる。
外仕事ではノーダメージの腰も、
18時に作業を終えたときには痛くなっていた。

日増しに『家事』のイメージの幅も深さも広がっている感じがする。
下界にいた頃は気付いていなかった、
他人にしてもらっていた事がここに居るとよく見えてくる。

2014.5.25

4:00起床、日直業務で発電機をまわす。
玄関脇の温度計で気温を確認すると9℃
薄曇りで日差しこそ弱いが今朝は暖かい。


乳白色の空に滲む太陽


白黒の槍沢


今日は投雪機の使い方を教わった。
予想外に難しく、
1時間ほどロクな仕事もせずに操作練習する感じになる。
使いこなせるようになったら数倍能率が上がるので、
時間の先行投資といったところか。

新しく覚えることがどんどん入ってきて、
一通り教わったことを「やってみなさい」と言われるようになった。
話を聞いて理解したつもりになっていても、
『分かる』と『出来る』の違いの大きさに悪戦苦闘。

午後に初めて発電機の外部タンクへ軽油を給油したのだが、
やり方が合っているかどうか不安で
何度も途中で手を止めて上司や先輩の所へ確認しに行った。
何とか完遂したけれど、
達成感よりも至らなさのほうが大きかった。

2014.5.24

4:45起床、客食作り担当なので少し早起きする。
なにぶん不慣れなので気持ち目覚ましを早めにセットしたが、
実際に準備してみると余裕があった。
少しだけ慣れてきたのだろうか。

でも、でも、
この人数で得心してはいけない。
ハイシーズンはこの100倍近くを相手にするのだから。

ただ、ちょっとした自分の達成感を認める作業は大切。
今日は朝の仕事後の休憩にカメラを持って軽く散歩した。


あさの日差しと槍ヶ岳


笠ヶ岳と高山方面。
高山は雲に覆われていた。


午後からはハタさんガイドが率いる登山学校のヘルプに入る。
ハタさんはうちの曽祖父も知っているという、
年季の入ったガイドさん。


山頂で集合写真(山荘ブログより転用)


雪かきなどの外仕事で、
日焼け止めを塗っていても顔が黒くなってきていたのだが、
今日のガイドヘルプあけに今シーズン最初の脱皮が始まった。
顔がまだら模様になってしまった。。

晩はハタさんから滝谷の初登攀の物語を聞く。
祖母方のひいじいちゃんがその物語に関わっているとの話を、
リアルタイムで体験した人の口から聞いて感動する。

ハタさんが休んでから、
先輩従業員の彼女が遊びに来ていたので飲み会が開かれた。
久しぶりの再会が嬉しそうで、
傍から見ているだけでいい気分に。

22時にお開き、明日は日直なので4:10起床予定。
早起きにも慣れてきた、かも?

2014.5.23

今日はほぼ1日外で雪かきをしていた。
先週終わったはずの中庭がまた埋れてしまったのだ。

朝のうちは薄曇りだったけれど、
だんだんと視界が開けてきて気持ちのいい眺めが広がった。
天気の回復に立ち会うのは気持ちがいい。


2日ぶりに槍沢を見渡せた(山荘ブログより転用)

午後からは作業してると暑く感じるほど。
アウターの雨具を脱いで、フリースも脱いで。
長袖にTシャツを重ね着した格好で快適な感じ。
暖かくなるのは嬉しい。


この間の休暇で手ぬぐいをたくさん買ってきた。

厨房にいる時に頭に巻いたり、体を洗ったりと実用的だし、
ちょっとした贈り物にもなる。
これからちょっとずつ集めていくつもり。

明日は朝の客食担当で5:00起き。
まだ不慣れなのでもう少し早起きして準備するつもりだ。

2014.5.22

昨日から吹雪、湿雪が降り続いている。
乾燥室の扉の前に胸の位置まで吹きだまった雪を昨日必死に掻き出したのに、
今朝みると肩の位置までまた吹きだまっていた。


乾燥室前の開き戸


今日は食事当番。
昼は三色丼。
夕はひじきを煮付けて、餃子を焼いて、
コンニャクとなすとピーマンの甘辛味噌炒めを作った。

夕食は仕上げの段階でお客さんが見えて先に客食を作ることになったので、
想定外の展開に翻弄され全体的に味が薄くなってしまった。

従食当番では時間通りに食べられる状態にすることが求められる。
遅れると、他のスタッフの時間を食うことになり、
ハイシーズンなら全体が傾くことになりかねないとのこと。

この時期に与えられた仕事だけやっていたのでは、
ハイシーズンに対応出来ないよと先輩方からアドバイスをいただく。
努力せねば。。

2014.5.20

休暇最終日。
1週前は悪天予報だったが、なんとかもちそうだ。

朝食と弁当を槍沢ロッヂで用意してもらう。
いろいろとお世話になって感謝です!
荷物の重さにうんざりしながら、7:30出発。


ひと月前には埋れていたババ平の石垣が完全に露出していた。

大曲までノンストップ。
思ったよりもいいペースだけど、
ここからが本格的な登り。


アイゼンとピッケルを装備して休憩する。


しっかりと休憩したはずだけど、
登りはやはりしんどい。
20歩ほど歩いたら立ち止まって息を整えて、
また20歩ほど進む。

急登になればなるほど、
足を進められる歩数と休憩時間が増える。

本当は12時を過ぎてからお昼にしたかったのだけど、
最初の急登を登り切ったところで大休憩。
腹も減っているので早めのランチとする。


槍沢ロッヂのちらし寿司弁当。
ぺろりとたいらげる。



今日から休暇のN川さん。
食事中の僕の横をスノボで気持ち良さそうに滑って行った。


この最後の登りがしんどい。

僕より3時間後に槍沢ロッヂを出発したというS山支配人に抜かれたかと思うと、
すぐに置いていかれた。(上の写真の真ん中の点がS山さん)


14:30到着。
一歩ずつ進んでようやく辿り着いたので、
かなり達成感があった。


クライミンギギアも運搬完了。
雪が溶けたらすこし遊ぼうと思ってます。

15:00過ぎにはガスが湧いて視界が20mほどになった。
天気が崩れる前に小屋に着けて良かった。

2014.5.19

休暇はあと2日あるけれど、
最終日の20日の晩には肩の小屋に戻らなければならない。

昨日の深夜に東京から松本の事務所に戻ってきて、
朝イチで近所のワークマンに裾直しを頼んであった作業ズボンを取りに行く。
寮に戻って荷物をパッキング。
いろいろ持っていくものが重なって、
110Lのザックがパンパンに。。
重量はちょうど30kgになった。


10:00過ぎに松本駅を出発。

電車で上高地入りして、信州側から登るのは初めて。
槍に登る定番のアプローチを体験する。

上高地に到着したのが12:45頃。
思うより時間がかかった。
月曜日だけれど、
上高地は人出がそこそこあり賑わっていた。


ハイカーの方が熱心にニリンソウを見ていたので、
話を聞くと『青いニリンソウを探している』とのこと。
見つけたら幸せになれるらしい。
時間に余裕がなかったので探すのは今度にする。

徳沢を過ぎたあたりから荷物の重さが身体に応えはじめる。
てのひらの動脈が脈打っているのが分かる。
前腕にしびれる感覚がある。重い。。

横尾でポカリを購入して少し休憩。
あとは気力で歩いた。
新緑から夕方の黄金色の木漏れ日が澄んだ池に差し込んでいる風景や、
槍見河原から覗く槍の穂先にカメラを向ける余裕もナシ。
16:30頃、槍沢ロッジ到着。上高地から3時間半かかった。
明日が思いやられる。



お土産のウイスキーを取り出して少し荷が軽くなる。

が、デポしてたアイゼンとピッケルを回収。
重さはトントンか?

槍沢ロッジのスタッフと軽く飲んで、
20:30には布団にもぐり込んで泥のように眠った。

2014.5.16-18

この仕事を始まる前、
つまり、山に入る前から初めての休暇の過ごし方は決まっていた。
天気の都合で休暇がずれ込むかもしれないリスクにヒヤヒヤしながら、
蓋を開ければ思うよりスムーズに下山でき、
想像以上に楽しい休暇を満喫できた。

楽しかった分、山に背負っていく荷物が重く感じられるだろうが、
ひと月前よりも体力はついたはず。
クタクタになるだろうけど、背負えるはず。
いつかは軽々と背負えるくらいに成長できたらいいなと思う。


横浜の中華街に行ってきました


ハリネズミまん。見た目だけじゃなく、味もなかなか。


連絡線からみなとみらいの夜景を眺める
標高差3000mの休日。


昔、『すぐそこの遠い場所』という本を手に取ったことがある。
逆説的な言葉のレトリックで
空想的な世界観を表現している内容だったことを覚えている。
非現実的な作り話のこのタイトルが、
今は妙にリアルな響きをもって聞こえてくる。

2014.5.15

本日より休暇。
ひと月ぶりに下界へ!!
山の上の生活には慣れて快適に過ごしていたけれど、
やはり下山して羽を伸ばせるのは嬉しい。

4:50起床、ぱっちりと目を覚ます。
休みの日はエンジンのかかりも早い。
S山支配人も今日から休暇で、
5:30発で一緒に下山。


出発時は風もなく、上層と下層の雲に挟まれていた。
 
 
 
裏銀座方面


天気は下り坂の予報だったので、
早めの出発で下山することに。
「ゆっくり下りるよ」とS山さんは昨晩言っていたけれど、
僕にとってはなかなかのハイペース。
1時間15分で槍沢ロッジ到着。
7時まで休憩して、
8時過ぎには横尾到着。。


 

 
こんど補修予定の崩落個所のチェックも怠りなくこなす支配人
 
横尾に停めてある会社の車に便乗させてもらい、
9:00上高地発のバスで平湯温泉へ。
 
上高地でおやきと缶コーヒーを購入。
お金を使うのも1ヶ月ぶり!
 
 
平湯バスターミナルではあんこクロワッサン購入。
パン屋のおばさんに
「ここに来るたびにあんこクロワッサン買うんですよ~」
と件のパンへの愛情を語ると昨日の売れ残りのパンを2個おまけしてくれた。
穀物のクロワッサンとハニークロワッサン。
やはりあんこが一番。



実家の庭は春爛漫だった。
 
早いうちに戻ってこれたので、
洗濯ものと10日ぶりのお風呂を午前のうちに済ませられた。
 
午後から父親に付き合い白出沢へ。
砂防工事の状況と登山道の状況を確認。
少しだけ山を見る視点が変わってきた気がする。


午後はけっこう本降りの雨になっていた。

 

夕食はタラの芽の天ぷら!

食事量は2倍以上になっているのに、
体重は減ってきている。

2014.5.14

客食の準備で4:50起床。
まだ不慣れだけど、
独りで準備をやり切れたのは嬉しい。

そして、昨日の暴風もおさまり、
予定通り荷上げもできました。


物資を搬入し、下げ荷をピックアップするヘリコプター
(山荘ブログより転用)

人海戦術で荷物を運んで、午前のうちに作業完了!

その後、みんなで一服。
今日は外茶でした。


くつろぎのひと時(山荘ブログより転用)


午後からはまたひたすら雪かき。
最近はもっぱら肉体労働です。

今日はいつもの3割増しで作業に精をだす。
なぜなら、明日から休暇だから!
ひと月半ぶりの下界を堪能します。

ただ、不安がひとつ。。


下界は暑いようですね。(NHKの報道より)


高度3100mの値を参照(日本気象協会の天気予報より)

温度差30℃!
いま中厚手のウールの下着に、パタゴニアのR1、
さらに上着を着ている状態。
今日は西風が寒かったので、
バラクラバ着用で仕事をした次第。
体が暑さについていくか心配です。


今日の夕焼け

iPadのカメラで捉えきれない妖艶な赤が広がり、
スタッフみんな食器の片付けの手を止めて空に見入りました。
天気の崩れる兆しあり。

明日は早朝下山の予定。
天気が崩れる前に行動できたらいいな。

2014.5.13

今日はヘリで荷上げする日。
昨日もたいがい風が強かったけれど、
今日は昨日のそれに輪をかけて風が強い。

ガスが抜けて青空が広がった後も、
時折立って居られないほどの強風が駆け抜ける。
そんな中でも屋根の上の雪かきは続く。


太陽に向かって雪を投げるけんちゃん(山荘ブログより転用)



投雪機の雪も着地せずに遠くに流されていく。。


この風でヘリは飛べず、
待機という形で延々雪かき。
少し背中が張ってきた感じだ。

夕方ごろ風の弱まるタイミングを見計らって、
人送便で大工さん2人が山荘入りする。
今月末からひと月ほど小屋の修繕をしていただく予定で、
今回は下見で入山とのこと。



ひたすら雪かきしてクタクタになったけれど、
キレイな夕日を見て少し癒された。

ヘリは明日の7:30に飛ぶ予定。
明日は無事に荷上げできますように。

2014.5.12

4:50起床、当番なので発電機を回しにいく。
換気のために発電室の窓を開けると、
鮮やかなオレンジの朝焼けがキレイだったので、
発電機のアイドリング中にカメラを取りに行く。


朝焼けの槍ヶ岳


昨日より富士山も鮮やかに見えた


今日は西から天気が崩れるという予報。
午前仕事を終えるころには、
雲が分厚くなってきて空を重くしていた。



昼前の空(山荘ブログより転用)

13時過ぎにぽつぽつと雨が降り出して、
15時くらいには暴風雨となる。

雨が降ると雪が溶けて、
生活水を貯めるペースも劇的に早くなる。
そういう意味では待望の雨なのだが、
雨と風にさらされての外作業は体にこたえた。


暴風雨の中の中庭掘り(山荘ブログより転用)

時折スコップの先が強風を受けて煽られる。
風速10〜20mの突風が放り投げたこぶし大の雪を押し戻してくる。
大変な状況だった分、
変にテンションの高い状態になって熱心に作業できた。
汗と雨にまみれてずぶ濡れになる。

今日はさすがに宿泊客はナシ。
晩にゆっくり本でも読もうかと思ったが、
すぐに睡魔に襲われて撃沈する。