つまり、山に入る前から初めての休暇の過ごし方は決まっていた。
天気の都合で休暇がずれ込むかもしれないリスクにヒヤヒヤしながら、
蓋を開ければ思うよりスムーズに下山でき、
想像以上に楽しい休暇を満喫できた。
楽しかった分、山に背負っていく荷物が重く感じられるだろうが、
ひと月前よりも体力はついたはず。
クタクタになるだろうけど、背負えるはず。
いつかは軽々と背負えるくらいに成長できたらいいなと思う。
標高差3000mの休日。
昔、『すぐそこの遠い場所』という本を手に取ったことがある。
逆説的な言葉のレトリックで
空想的な世界観を表現している内容だったことを覚えている。
非現実的な作り話のこのタイトルが、
今は妙にリアルな響きをもって聞こえてくる。